5月31日~6月2日
5月31日~6月2日
5月31日
一昨日のジューロの釣りを目の当たりにして、がぜんスロベニアの釣りに興味が湧いてきた。今日はどこでどういう釣りが出来るのか?楽しみである。
訪れたのは、規模としては日本の里川に近いこの川。宝石のようなエメラルドグリーンの流れだ。私は写真右側の護岸上から魚を狙う。そこかしこに魚影が確認できる。ここは、ネイティブのレインボーとブラウンが多いとのこと。身をかがめ5m下の流れにニンフをキャストし、ハンティング態勢に入る。綺麗なループを作って・・などという悠長な釣りではない。限られたスペースの中で、ロッドを上手くさばきこなせるかが、大きく釣果を左右する場所だ。
数投目で、ネイティブレインボーがヒット。フライラインを両手で手繰り寄せ、魚を宙吊りにしながらランディング。可哀相だがこの場所ではそうするしか方法はない。同じやり方で数匹追加する。(写真をよく見るとフライが魚の上顎にガッチリ掛かっている。これがジグニンフの威力である)
少し開けた場所から、5m下の流れの流芯に定位するレインボーを狙う。長いフレンチリーダーは使わない。15mほどのロングキャストで、サイトニンフィングをする。この場合、キャストの正確性がキモである。何投もキャストするが微妙にレーンがずれる。15m先で尚且つ5m下のピンポイントを狙うのは距離感がなかなか難しい。だが、だんだんと狙いは定まってくる。そして7投目、魚の右前奥から左へフライが浮上しながら横切るピンポイントドリフトに成功しヒット!15m先の魚を5m上の場所からサイトニンフィングで釣り上げたこのセットフックは、最高に気持ちがいい。狙い通りの会心の一匹。
川沿いのレストランのモニュメント。
ここで、昼食。マッシュルームスープが美味しかった。
川が沸騰したかのようなライズフィッシング
Japanメンバーに、ノバーク、ジューロ、マルタのスティーブ。午後からの釣りの前に。
午後、上流へ移動。比較的穏やかでシャローな流れが続く。
ニンフィングロッドで釣りを開始したが、フと感じるものがあり車に戻ってドライフライロッドに持ち替えた。こういうシャローな場所は、ドライフライやイマージャーが有利な場所でもある。もし、ニンフィングになったとしても、ライトニンフのイマージングでなんとかなるはずだと瞬時にそう判断したのだ。
今までニンフィングが多かったので、ここは軽快にドライフライキャストで攻めてみる。タイトループキャスティングやメンディングの感覚を確認する。ニンフィングだけでは片手落ちになってしまう。
コンペティションロッド考察
※この時はフォーインワンロッドは持っていなかったので、ニンフィングロッドとドライフライロッドを別々に使い分けていた。車が近かったから良かったが、車に戻れない距離に来ていたならニンフィングロッドでのドライをするしかなく、ここまで軽快にフラッタリングヒットを連発することは難しかっただろう。今ならフォーインワンロッド一本で、1フィートのブランクを取るか付けるかでドライにもニンフにも対応できる。0.6フィートを足せば、10.6フィートという長さで角度を付けたニンフィングも出来る。その場ですぐ交換できるのでハッチに対する対応の早さや時間短縮、移動時の負担軽減(2本ロッドを持って移動や遡行をするのは面倒くさいし体力を奪われてしまう)ができ、このことは思っている以上に大きなアドバンテージがあります。1フィートの差、そしてそのアクションの微妙な差は、やはり大きいのです。つまり、ニンフィングロッドでドライフライは完全に出来ない、ドライフライロッドでニンフィングは完全にはできない、ということである。
革新的フライロッド 4つのレングスに対応 コンペティション(競技者)仕様
⇒BILZY zone #4/5
DTラインでのアンダーハンド的シングルハンドスペイキャスティング
普通のタックルシステムでも十分にスペイは出来る。渓流でバックが取れない場所には最適。
小雨がパラパラ落ちてきた時、少し上流で釣っていたKさんが私に叫ぶ。「ボイルだ!ボイル!」
急いで行くと、ライズというよりまさにボイル。さっきまで沈黙していた川がまるで沸騰したかのようだった。
この流れが沸騰した。
一気にテンションは上がる。私には虫は見えない。だが、スプラッシュライズの連続、ボイリング。小さいメイフライか、カディスイマージャーか?特定できないまま私は、カディスにもメイフライにも対応できる少しファジーな特製CDCフライをチョイスした。こういうライズは短時間で終わるから、悠長に虫を調べている余裕はなかった。
フライが完全にマッチしていればワンキャスト、ワンフィッシュだっただろう。私のフライは完全にマッチしていた訳ではない。しかし、フライは変えずにドリフトを工夫し、フラッタリングを工夫し流し続けた。
魚はフラッタリングが上手くいったとき、ヒットした。一匹は空中でフライを咥えた。(ように思えた・・)ナチュラルドリフトでは無視していた魚も絶妙にフライが躍動した時、ヒットした。8匹ランディング、4匹ロス。ブラウンにレインボー。
ニンフィングロッドからドライフライロッドに変えた私の直感は当たっていた。ライズが始まってすぐにライズフィッシングに対応できた。9フィートのシャープなアクションは軽快なロッドさばきを可能にし、フラッタリングやイマージングを思う通りに演出できた。こういう読み、予感、直感の大切さを改めて思う。
魚は川を沸騰させ宙を舞い、フライは水面を飛び跳ね、私のロッドとラインはダンスし続けた。
なんとエキサイティングな釣りだろう。やはりライズフィッシングは面白い。生命力に溢れている。
ほんの20~30分の夢のような出来事だった。
※今思えば、スペントカディスだったのかも知れない。カディスのウイングは見えなかったが、水面でウイングを広げバタついているカディスというのが、一番可能性としては高い。サイズは16番~18番。この時のCDCファジーフライも、ホットスポットを加えることで、魚をより興奮させられたと思っている。
更に上流へ
思わぬマッチング・ザ・ハッチの釣りを堪能し、心地よい充足感で満たされる。次のポイントは、プールと瀬が交互にある日本的な流れだ。
さっそくジューロが私に言う。「目の前にレインボーがいる。見えるか?」
見えない・・・、どう凝視しても見えない。上のプールから激しく落ちている流れだ。白泡が飛散し複雑な流れを作っている。普通は見えるはずがない。今までの常識では見える訳がない。
ジューロは、ロッドティップを水面にぎりぎりに向ける。魚との距離は20cm~30cmだろう。それでも分からない。穴が開くほど水面を見つめたが、私には見えなかった。だが意地のブラインドチェックニンフでそいつをフッキングさせる。
ジューロは言い放った。「ほら、いたでしょう!」・・・返す言葉が見当たらない。
その後、更に上流へ移動しネイティブレインボーを数匹追加する。
ニンフのイマージェントドリフト、そしてセカンドフォールが抜群に効いた。このくらいの規模の川では、ショートディスタンスのニンフィングが最強に釣れる釣り方だろう。日本の川でも十分応用が効くはずだ。
帰り道は、いつものようにノバークに巻かれそうになりながらも無事ホテルに到着。左ハンドルの右側通行にもかなり慣れてきた。
6月1日
それにしても牧歌的な美しい流れだ。実際に川の岸辺を牛たちが遊牧されている。そしてこの流れのそこかしこにブラウンやレインボーが優雅に泳いでる。生息密度はかなり濃い。
Photo by Kuni Masuda Thank you!
その多くは、稚魚放流や成魚放流である。ここにスロベニアの課題も潜んでいる。ジンクリアーな美しい流れでのサイトニンフィング。少し工夫した流し方をして、30cmほどのブラウンをランディング。サイトニンフィングのコツはどこにどういう角度で落とすかに掛っている。少し上流に移動しブラインドニンフィングで対岸の深みを狙う。数投後、強烈な当たりと共にラインブレイク。ここは思わぬ大物が潜んでいる。3Xが簡単に持って行かれた。
浅く速い流れの瀬でグレイリングを狙うスティーブとジューロ。この浅い流れの中に何十匹というグレイリングがスクールを組んで泳いでいる。
2人がどのように狙っているか分かるだろうか?
因みにスティーブもジューロに、「あそこの魚が見えるか?」と何度も聞かれていた。スティーブは答える。「No・・」「No・・」「N~~~o~~~!!」大粒涙
私もジューロとの共同作戦で、この場所では最大級の40cmほどの
グレイリングをランディング。ヒットフライはスロベニアンスカッドとでも言うようなノバークのオリジナルフライ。このフライは美しく完成度は高かった。日本ではどこを探してもないだろう。グレイリングはとぼけた顔をしているが、背びれの大きさと美しさが際立っている。機会があれば、ぜひあなたにも釣って貰いたい。
写真を見ると分かると思うが、グレイリングの体色は川と完全に同化している。流れは速い。サイトで見つける自信はありますか?
日が傾きかけ、ドライフライで叩き上がる。ロイヤルコーチマンやライツロイヤルに飽きないほどにブラウンがヒットしてくる。気付けばかなり上流まで釣り上がっていた。