6月8日~6月10日
6月8日
River KOKRA (Sector III)
コンペティション最終日。午前中は、River KOKRA (Sector III)
一番、日本の渓流に近い規模の川である。しかしその分ポイントが絞られる為、繊細な釣り方が求められる。
セクターは200mほどなのだが、ポイントは2か所のプールに絞られる。他は浅瀬が続き、魚が付ける場所はほとんどない。
まずストーキングでこのプールに近づく。膝を付きサイレントなキャスティングで、小さいニンフを深場に落とし込んでいく。小さなニンフを素早く沈めるタイイングテクニックがものを言う。ただ単にビーズヘッドやタングステンを付ければいいというものではない。
木々が大きくせり出し、川を覆っているポイント。このブッシュ下にも付いている可能性はある。どこからどう狙うか?
特性タングステンフェザントテールを素早く底に沈め、立て続けに2匹ヒット、ランディング。幸先のいい滑り出しだ。その後、上流のプールへ移動し、縦のスイングアクションで2匹追加。しかし後がなかなか続かない。浅~い瀬を丹念にトレースしてみると、何度かフッキングしたがバラシの連続。元のプールに戻り、目先を変えスモールストリーマーのリトリーブで一匹追加。
膝をつきニンフィングを展開する。結局5匹で終了。下流のビートはスロバキアの選手だったが、後で「How many fish?」と聞いたら「One」と人差し指を力なく上げた。でも、私の5匹の釣果を知り、「Good Job!」と自分事のように喜んでくれた。彼らは、遥かアジアの片隅から来た日本人をけなげに思ったのだろうか・・。上流のビートは0という釣果だったので、まあ良しとしよう。
写真撮影は私に付いた地元コントローラー。日本のことをよく知っていて、日本製のフックやリーダー、ティペットを欲しがっていた。日本製は品質がよく、日本をリスペクト(尊敬)しているとも言ってくれた。
River SAVA BOHINJKA (Sector II)
最後のセクター、サバボヒンカのローワーパートだ。
シャローで単調な瀬が続くが、実際ウェーディングしてみるとやはり強く早い流れだ。
ニンフィングロッドと、ドライフライロッドの2セットを組み開始時間の17時を待つ。作戦としては最初にニンフ、19時近くなったらドライだ。
再下流からニンフィングで釣り上がる。ほどなくして最初の当たり。20cmに満たないブラウンでノーカウント。その直後、20cmオーバーのレインボーをランディング。小さいがまずまずの出だしだ。この後が続かなければいけない。だが左岸、右岸ともニンフィングで攻めるが、2~3回当たりがあった程度でフッキングまでにはいたらない。また左岸の中ほどにある少し流れが緩やかになっているポイントへ移動。そこの深場に定位する魚を発見。サイトでしつこく狙ってみる。プラクティスの時は、こういう場面はあっさりヒットに持ち込めた。しかし、なかなか魚は反応しない。フライなのか流し方なのか・・・、何かが少しずれている。
ふと時計を見ると、すでに19時を回っている。すぐさまドライフライに切り替える。カディスイマージャー。まず、緩やかな対岸の小さいプール。すぐさま反応があり、フッキングするも15cmほどのおチビちゃん。ここは小さいのしかいないと判断、再下流に戻り、軽快にドライフライを流していく。ん~、やはりキャスティングは楽しいと、余裕はないながらもそう思う。
すぐさまヒット、ヒット、ヒットの連続。読みは当たっていた。当たってはいたのだが、全てバラシ・・。最初のミスはラインリトリーブ。下流へ流れてくるラインのたるみを完全に取っていなかった。普段ならあり得ないミス。これもプレッシャーなのか。その後リトリーブは完ぺきだったが、ロスが続いた。ランディングネットに取り込もうとした瞬間にバラシ。何かがずれていた。やばい・・時間がない。もっと早くドライにしておけば・・。終了1分前、これが最後のキャストと思いながら、左岸の際へプレゼンテーション。フライが落ちた瞬間にガバッと出た。25cmほどのレインボー。チャンピオンシップ最後のランディングだった。
選手とコントローラーが、川沿いを戻っていく。牛が私たちをねぎらう。
戦いを終えて記念撮影。
皆、ドライフライで釣ったそうだ。スペインのマルティノスは50cmはあったレインボーをラインブレイクしたと悔しがっていた。ニンフは流したが、反応は薄かったらしい。ここでのヒットフライは、カディスイマージャー。スペントの形をしたカディスをフラッタリングさせたそうだ。(この釣り方は、私も練習でやって爆釣したのに・・)
これでスロベニアの釣りは終了した。
総じて言えば自身の釣りスタイルへの手応えもあり、驚愕のサイトニンフィングの世界も知り、充実した遠征となったと思う。
特にプラクティスで、様々な状況下でもいい釣果が得られたことは自信にもつながった。チェックニンフィング、フレンチニンフィング、サイトニンフィング、イマージングドライ・・、と様々な釣り方で釣れまくることが出来た。ガイドのノバークとジューロからは、「Japanese Good fishermanあんたは良く釣るよ」とお褒めの言葉も頂いた。
しかしながら課題も多く残った。コンペティションでの釣りはまったく納得がいかない。原因として一番考えられるのが、練習時に予想以上に爆釣した為、心のどこかで釣りを満足してしまっていたこと。その為に本番でのハングリー精神、モチベーションの高い維持が難しかったことが上げられる。マインドの管理もとても重要な要素である。この想いはいつか世界から認められるその日までの未来の夢へと繋げていこう。それを実現するのは、私かもしれないし、まだ見ぬ友、サムライジャパンの一員かもしれない。
6月9日
午前中は、コンサベーション&シンポジウム。
marble troutとgraylingの再増殖や観光業の発展の中に置ける釣り産業の意味などが発表される。
スロベニアはとにかく何処へ行っても魚がいた。橋の上から覗くと必ずいた。その大半は、釣り観光の為の放流であろう。人馴れしていて、近づいても逃げない魚が多かった。しかし同時に野生化したレインボーやブラウン、グレイリングも多数生息していた。湖には、マーブルトラウトも。
今後も、スロベニアの釣り環境の試行錯誤は続くであろう。
巨大化したマーブルトラウト。
どうすればここまででかくなるのか!?
写真は、個人の表彰式。
1位 スペイン
2位 イタリア
3位 チェコ
Closing Banquetクロージングパーティー。ホテルスタッフは大慌て。
食事に関しては、あまり印象に残るようななものはなかった。
日本料理の繊細さが懐かしくなる。