世界の太公望 静かなる川のチャンピオン、ユーロニンフ 、チェコニンフ 、ワールドフライフィッシング チャンピオンシップの世界

6月3日~6月7日

6月3日

オープニングセレモニー

各国の選手たちが正装してホテル前のセレモニーホールへ集まってくる。
日本は今回チームではなくインディビジュアル(個人)での参加ではあるが、紺のブレザーに白系のスラックス、赤のネクタイで統一している。
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地元の子供たちによる民族舞踊。平和で幸せを感じる踊りだった。
夜、各国の選手や関係者が一堂に集まり、ウェルカムディナー。
顔見知りの選手との再会に盛り上がる場面も。





6月4日~6月5日

2005-01-01 00

本来,この2日間はOfficial trainingの日。一日目は川。2日目は湖。

今までのプラクディスから川の状況はおおよそ判断が付いた。釣り方、フライも把握できた。
一旦バスで出れば、早朝から夜まで休むことのない釣りになるだろう。という事でこの日は体力を温存し、タックルの整理やラインリーダーの確認、フライタイイングに充てる。

予備のフレンチリーダーを2セット、ドライ・イマージャー用の予備リーダーを1セット、湖用のコネクトリーダーを2セット組む。
フライを幾つか追加でタイイングする。

リーダーシステムは考え出すと切りがない。長さ、材質、カラー、ノット、テーパーかレベルかなど。テーパーにする場合、どの太さからどの程度で落としていくかも大切になってくる。レベルラインの場合、使うフライの選択も重要だ。ストライクインジケーターの長さと太さは、色は・・。スパイラルインジケーターはどこでどう使う?など、自身のやりたい釣り方に完全にマッチしていなければならない。

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とは言うものの、根を詰めても仕方がない。昼は近くのレストランで食事&ビール。リラックスしながらも、様々な情報が行きかう。(南アフリカは川をフルシンキングでやったら、爆釣したらしい・・。スティーブは湖でタイプⅵで底をべた引きで釣れたそうだ・・。いや、ドライもいけると誰か言っていたぞ!・・・。)
情報が入り乱れる。アメリカから参加のMさんは英語が堪能で、他のチームから色々な情報を入手し、分かりやすく私たちに伝えてくれた。


翌朝、ブレックファーストの席で、Mさんが言う。「湖の練習はまる一日掛りで正味1時間しかできないらしい。だから、参加しないチームも多いらしい」と。なるほど、電車にバスの長時間移動で1時間では、他のことに一日を当てた方が得策かもしれない。
この判断が功を奏したかは定かではない。しかし、ただ体力を消耗するだけに終わったかもしれない一日よりは、若くはない我々にはベターな選択だったと考えよう。

6月6日 Competition1日目

コンペティションの結果は結論から言ってしまうと、不本意でくやしい結果になってしまった。精度の欠いた釣りになってしまった。原因は色々考えられるが、ちょっとした判断ミスの積み重ねで歯車が最後までカチッと合わなかった。プラクティスでは絶好調だったので尚更その想いは強い。だが、そのどれもが現在の実力なのだろう。テクニックもさることながら、その心理状態も時系列で書いてみたい。

River SAVA BOHINJKA (Sector I)

大会ホテルからも近いこのセクター、8時前には川へ到着しコントローラーとご挨拶。200mのビートを歩いて確認する。ビートNO14。ちょうど橋が架かっていて、その下流5omほどと、あとは橋の上流である。
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9:00スタート。まずは下流の流れのあるポイントをブラインドニンフィングで釣る。数投目でレインボーをゲット。いい出だした。その後もう一匹追加し、上流へ移動。ここの流れは緩やか。あちこちに魚影が確認できる。サイトニンフィングで狙うも、かなり魚はスレていてフライを見ると逃げる。

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ここで、右岸を釣り上がるか左岸を釣り上がるかの選択をする。私はそのまま左岸のサイトニンフィングをする。
事前に見回った時に、右岸には魚が多く見えた。しかし、水深も深くここの魚はスプーキーで、人影を見ると逃げるという情報があった。私が覗き込むと、確かに魚は逃げる。その為、右岸は最後に釣ることにしたのである。(しかし、この判断が間違っていたのだ)
フライをとっかえひっかえしながら、狙うも反応しない。時間は刻々と過ぎる。腰までウェーディングしてスパイラルインジケーターのフレンチニンフィングをするもしっくりこない。私は、流れのある下流の対岸へ移り、チェックニンフィングで攻める。大きなレインボーが底に定位している。フライに反応もする。私はかなりしつこくそいつを狙った。時間は過ぎていく。

残り一時間を切った。
私はもっとも難しいであろうと判断した右岸の深みのあるポイントで釣りを再開する。木の枝が密集していてキャストできる場所がなかなかない。それでもわずかな隙間からフライを落としていく。反応はない。フライを変える。反応はない。フライを変える。
かなりフライも変え、ティペットも短くなる。時間はない・・・。

岸からでは周りの木が邪魔して広範囲に狙えない。思い切ってドボンと、川へ落ちてみた。
案の定、魚は散った。やはり無謀だったか?と思いきや1分もしないうちに魚は元の位置に戻って来るではないか!?何事もなかったように、元の場所に定位しゆらゆらと泳いでいる。私の目の前だ。

「そうか!ここの魚は、かなり人馴れしているのか!?」

そう気づいた時は、既に時遅しであった。

私は胸まで川に浸かり、左手でせり出している木を掴みながら、キャストを繰り返す。
小さいフェザントテールから白っぽいボディーの10番の大きめなニンフに変える。(このフライはジューロからもらったもの。ノバークも白っぽいニンフが効く、と言っていたのを思い出す)一投目、すぐにガッと当たりがある。OK!やっと当たりフライを掴んだ。そこからは、立て続けにヒット。ランディングしコントローラーに計測してもらうのだが、場所が場所なだけに計測にもかなり手間どう。こうなると時間との勝負。ロスしたり、足を滑らせて転んだりと大騒ぎだ。
結局4匹の追加で時間終了。

このセクションでは、魚の反応は大きく分かれた。ポイントにより気配を悟られるとすぐに逃げるスプーキーな魚たちもいれば、私の存在が視界に入りながらもまったく逃げない魚たちもいた。後半のポイントはでかい魚が私のすぐ横で優雅に泳いでいた。アイコンタクトも出来たくらいだ。判断が難しいセクションだった。

Lake at Most na Soči (Sector V)

近くのレストランで昼食後、電車とバスの移動で、湖へ。
私としては湖は2日目以降に当たりたかったが、これも時の運。湖でのボートフィッシングは、数釣りは期待できない.情報が釣果を左右する。1~2匹を目安として、作戦を立てる。

列車を待つ選手たち
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湖に関しては、様々な情報が飛び交っていた。
マルタのスティーブは、タイプⅥをガッツリ沈めて釣れた、とか。インターミディエイトで、スローリトリーブがいいとか・・。釣れ方は色々なパターンがあるようだった。何だかんだでウーリーバガーが一番いいとか、派手目のゾンカーだとか。
こうなると、ぶっつけ本番であらゆることを試し続けるしかない。

湖のセクターは情報不足と経験不足でこれ以上書く事もない。ボウズで終わってしまった。2006年のポルトガル大会では、湖もいい釣果が得られたが今回は惨敗。ポイントの絞り方、釣り方、ラインの選択、リトリーブ方法、使うフライ、ボートの操作・・全てにおいて未熟であった。何の言い訳もない。経験を積むしかありません。失礼!

6月7日

Main saba

大会2日目、リバーサバである。
川の規模は、日本の本流である。深さも流れの強さも一番だ。ポイントの絞り込みも難しくなる。

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良く見ると、対岸近くでライズしている。あれは狙えるだろうか?
実際に立ち込んでみるも、深く流れは強い。まともに狙えるポイントではなかった。作戦を変更して下流の緩やかな流れに行き、その対岸を狙う。だが、流れを横切るのにも一苦労。ほぼ胸までウェーディングし、水が中へ入る寸前の状態で、ブラインドニンフィングをする。でかく超ヘビーなニンフやタングステンのマイクロニンフなどをとっかえひっかえするも、ノーバイト。2度小さな当たりがあったが、フッキングには至らない。


元の場所に戻り、タイプ3のフルシンキングでリトリーブの釣りを開始。
流れが速く重いので、タイプ3でも底を取るのに四苦八苦する。
キャストする位置を工夫しなければならない。

因みに、シューティングヘッドはレギュレーションで禁止されている。

しばらくして待望のヒット。ランディングネットに誘導し取り込もうとしたその瞬間、スコーンという感じでバラシ。フライごと持って行かれた。

時間が無くなってきた。かなり焦っている自分がいる。落ち着こうとするも、手掛かりが掴めないまま時間だけが過ぎていく。

何度かあたりはあるものの、食いが浅くフッキングには至らない。
フライをとっかえひっかえするも、反応は良くない。

残り時間、後2分。まさかの展開に気持ちが切れそうになるが、どうにか踏ん張りキャストをし続ける。後1分。もう終わりかと思ったその瞬間ガッと衝撃が走りロッドが大きな弧を描く。この魚はバラさない、と慎重に立ち位置を変えながらランディング態勢に入る。
しかし、しか~~し、次の瞬間50cmはあろうレインボーは華麗にジャンプをし川の中へ消えていった・・・・。

2匹連続でバラスことは日本ではそうそうない。
自分でも分からない様々なプレッシャーからこうなったのだろう。
今思い返しても悔しいが、だからこそいい勉強になりいい経験になったと思う。

シンキングラインでは、ストリーマーとウエットで狙ったが、フライをどこにキャストするかで勝敗が決まったと言ってもいい。日本では、いつものようにやっていたアップキャストウエットが、出来ていなかった。
終了後に、地元コントローラーに「フライをあそこに落とすようにキャストして下流まで持っていって・・・」と説明された時に、ア!っと初めて気付いたのだった。いつも出来ていることが出来なくなる。これも世界大会という場の持つプレッシャーである。

Main sabaで泳ぐフレンチコンペティター

釣る為にはここまでする、それが世界大会という場所である。


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2m近い長身のコントローラーさんと記念撮影。この場所で100匹くらい釣ったと豪語していた。話半分でもそれはすごい。地元の釣り人でもあるコントローラーは、私の釣りを歯がゆい想いで見ていたに違いない。

帰りの車の中では、私は放心状態。皆「ハウメニーフィッシュ?」と聞きあっているのに、私には聞いてこない。その雰囲気から察してくれ、気を使ってそっとしておいてくれる。こういうのって、結構グッとくるんだよね。

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